Ayaさん
2019年度
CHARACTER ANIMATION 入学
カルアーツのキャラクターアニメーション科に3回目の受験で合格しました。
小さい頃から絵を描くのは好きでしたが、特に得意というわけでもずっと描いていたというわけでもありませんでした。日本では文学部にいたので、アートは受験に向けてゼロからのスタートでした。
最初の受験時は日本の美術予備校に通っていたのですが、そのときは不合格。今思えば基礎も身についていない状態で何をどう頑張ったらいいのかもわからないままあたふたと締め切りを迎えたのでポートフォリオと呼べるものでは全くありませんでした。カルアーツは合否発表後にアドミッションにメールをすると自分のポートフォリオのフィードバックをスカイプやメールでしてくれるのですが、1度目のポートフォリオはスカイプしてくださった方に笑われるほど画力も中身もないものでした。
もう一度しっかりと基礎からやり直そうと思い、引き続き日本で外国人のアーティストの方の元でデッサンとアナトミーを勉強しました。その後、P.I. Art Centerからカルアーツに合格した方からカルアーツの元教授で元審査員の先生のことを聞いていたので、渡米し、2回目の受験を迎えました。が、この時も不合格。少しずつ画力はついてきたような気はしたのですが、それでもフィギュアドローイングなどはまだ面白いものや、いろんなバリエーションは描けていませんでした。加えて、コンセプトの方はまだまだ浅く、1度目のポートフォリオよりは進歩したかもしれませんが、カルアーツに合格できるレベルではありませんでした。まだまだ作品に“自分を出す”ことができていませんでした。
私が3回のポートフォリオ制作で最も苦労したのは、コンセプトでした。2度目の後もカルアーツからフィードバックをいただいたのですが、フィルムメーカーになる準備ができているかを見たいのだからもっとストーリーのアイデアやキャラクターを見せて欲しいと言われました。技術の面ではこう描けるようになりたいと思うアーティストを見つけては模写をして、スケッチやフィギュアドローイングを日々続ければ自分の理想に少しずつでも近づくことができると思います。ですが絵が上手いだけでは受かりません。自分のパーソナリティーを作品を通して伝えること、自分の作品で何を伝えたいか、何を伝えるためにそれを描いたのか、伝えたいことが伝わるような作品になっているかを常に考え、3度目のポートフォリオを提出する瞬間までそこがブレていないか念頭に置きながら作品作りをしました。
合格した時のニューヨーク、 P.I. Art Centerでの制作期間中は、IELTSで英語の方はスコアを取れていたので、ほぼ毎日外部のフィギュアドローイングセッションに行っていました。体調を崩さないように規則正しい生活を送りたかったので朝から昼にかけてクロッキーに行き、その後はP.I. Art Centerの空いているスタジオで他の作品作りをしたり、模写をしたり、スケッチに出かけたりしていました。スタジオでは他の専攻の生徒も作業をしているので、ファッション専攻の友達が服を作っているのを見たり、ファインアート専攻の友達が立体作品を作っているのを間近で見たりと、自分と同じように目標に向かって頑張っている生徒が周りにいる環境で作品作りをできたのは非常にいい刺激になりました。彼らがいたから自分も最後の最後、締め切り当日まで諦めずにポートフォリオを完成させて無事出願し、合格できたと思います。
P.I. Art Centerでは、カルアーツで先生と審査員をされていた方に習っていたので、基本的に描きためたドローイングやスケッチブックを授業で見せてアドバイスをいただいていました。カルアーツはフィギュアドローイングには最低枚数が指定されているので限られた時間内で作品数を増やし、より良いものを描くことが必須です。さらに授業外でたくさん描いてこないとフィードバックももらえず、先生に真剣さも伝わらないと思います。カルアーツは推薦文も必要なので、熱意を見せること、どれほどに行きたいかを伝えることは重要ですし、その方がより多くの情報をくれます!
ドローイング以外では生徒一人一人に個別の課題を出してくださったりして、こういう作品を入れた方がもっと強いポートフォリオになるとアドバイスをしてくださいました。
こういう風に書きなさいと押し付けたり否定するような教え方ではなく、私が描いてきたものをもとに、それをもっとブラッシュアップさせ、面白いドローイングにするために、こうしてみたら?など、描いてきたものを見て、その書き方やアイデアを元にどう発展させたら面白くなるか、そのやり方をフィギュアドローイング以外にも活かしたらどうかとアドバイスしてくださったので、やる気を失うことなく、もっといい作品を作ろうというモチベーションに繋がりました。また、以前は自分の好きな画風やアーティストばかりを見ていたのですが、いろいろな画風のアーティストを紹介してくださり視野が広がりました。その先生が描く絵も大好きだったので、授業中は自分が描くと言うよりもいつも先生が描いているのをただ見ていることが多かったです。それくらい学べることがたっくさんあるので、たくさん質問したり、たくさん描いているところを見た方がいいです。
ポートフォリオに入れる作品選びも手伝って頂いたのですが、ポートフォリオは一枚一枚の絵も大切ですが全体のバランスや構成も重要になるので、実際に審査員をやっていたその先生の意見をいただけたのはとても貴重でした。
ドローイング以外にもアーティストステイトメント(エッセイ)や作品の編集の仕方まで教えてくださったので、全てにおいてとても感謝しています。
P.I. Art Center を選んだきっかけはこのカルアーツ出身の先生がいたからなのですが、スタッフの皆さんがどなたもとても話しやすく不安なことがあってもいつもいつも話を聞いてくれるので心強かったです。日本人以外のスタッフの方々でも、授業をとっていない先生たちでも相談に乗ってくださったり、作品にアドバイスをくださったりするので積極的にたくさん話しかけることがとても大切だと思います。行き詰まった時や作品の案が浮かばない時にいつも話を聞いてくれたスタッフの方達には感謝でいっぱいです。
受験を終えて今振り返ってみるとああすれば良かったと思うところは挙げればきりがないかもしれないですが、一番大事なのは楽しむことだと思います。受かるために描いて作品を作るのではきっと自分も楽しめませんし、審査委員にも見透かされると思います。
過去2度の受験時は合格したいという気持ちが先行してしまい、どうしたら受かるかばかりを考えていました。ですが、大学は自分のやりたいことをする環境であってゴールではないので、自分がどういうアーティストになりたいのか、何をどう表現したいのか、自分が作品作りを楽しんでいるかを常に頭で思い描きながら作品作りをした方が必ずその先の自分のためになります。
もし迷っていることがあれば、まずはP.I. Art Centerのアドバイザーの中沢さんでも、行きたい大学のアドミッションでも相談した方がいいと思います。どんなに小さなことでも一つ一つ丁寧に答えてくださるので、不安をなくせると思います。自分一人で頭の中で悩み続けてもそこから抜け出せないので、まずは誰かに聞くことが大事です。
これを読んでいる方が一人でも最初の一歩を踏み出せますように!