カルアーツ (Cal Arts) キャラクターアニメーション科合格 Y.Wさん

Y.W さん

 

2017年度

 カルアーツ (CalArts | California Institute of the Arts) 

Character Animation科入学

 

 

 P.I. ART CENTERに入学したのは何時頃ですか? また、どのくらいの期間いましたか?

2016年9月~12月まで。ちょうどP.I.の1セミスターにあたります。

4ヶ月の一発勝負と決めて入学しました。4ヶ月で全ての準備をしてアプライをするのは、なかなか忙しかったです。

 

·   なぜ留学を志しましたか?P.I. ARTCENTERを知ったきっかけは何ですか?

元々、カルアーツで勉強して将来アニメーション映画を作りたいと思っていました。2015年に一度日本で準備して受験しましたが、その時は不合格。その後は再チャレンジに向けて、日本でデッサンやアナトミー(美術解剖学)、パースペクティブの勉強をしていました。

2016年6月下旬くらいに、カルアーツでドローイングを教えていた人が現在はP.I. ARTCENTERで先生をしているとの情報が。また実際に P.I.で勉強してカルアーツに受かった知り合いもいたので、その人から P.I. の事を色々聞き、ここで勉強しようと決意。そこから急いで準備して、P.I.に来ました。

 

·   PI ARTCENTERではカルアーツや、アートセンターなどアート大学のポートフォリオ制作に向けてどのような事をしましたか?

ドローイング、ポートフォリオデベロップメント、ペインティングのアドバンスコースと、Mayaのイントロコースを受講していました。週4コマです。

特にドローイングとポートフォリオデベロップメントのクラスが良くて、先生には本当にお世話になりました。

ドローイングのクラスはスケッチとライフドローイングが主な内容。日本では写実的に描けていなければボロクソに批判されましたが、このクラスではアカデミックな技術を重視しながらも、自分独自の表現ができているかがより重要視されていたため、非常に刺激的でした。自由な表現はウェルカムで、新しい事をどんどん試しました。

また、毎週必ず授業後にライフドローイングとスケッチを先生に見てもらい、クラスの宿題以外に追加の課題をもらっていました。

ポートフォリオデベロップメントでは、最初にアカデミックとコンセプチュアルの違いを学び、両方のバランスのとれたアートメイキングを学びました。このクラスでもリスクを取ることが推奨され、常にチャレンジを求められました。でも、ただ無茶苦茶やれば良いという訳ではなく、あくまで作品の背景に芯の通ったコンセプトがないと評価されません。コンセプト、作品、プレゼンテーションまで一貫して意識するアートメイキングは日本では勉強できなかったので、本当に面白かったです。

それまでは弱点だと思っていたアートとは全く関係のない自分のバックグラウンドが、強力な武器になると気が付くことができたのも、この授業と先生のおかげ。

余談ですが、海外の先生はこちらからガンガン話しかける事でより重要な事を教えてくれる人が多いので、ただ席に座って先生の指示を待つのではなく、『絵がうまくなりたいんだ!この大学に絶対受かりたいんだ!だから助けてくれ!』と叫びにも似た熱意を伝え続けることが大切です。個人的にはアートの技術よりも、そういう姿勢で差が付くと思います。

 

·   また、カルアーツ(Cal Arts) - Character Animationを受験するにあたり、何に一番苦労しましたか? 

やはりポートフォリオ作成です。前の年に受験して落ちた時のポートフォリオを P.I. の先生に見て頂いたのですが、全員からこんなんじゃダメだと言われました(笑) 実力云々ではなく、そもそもカルアーツに出願するためのポートフォリオのつくり方が違っていたのです。ぼくはアカデミックな技術を見せなければならないと思っていたのでデッサンなどを入れていたのですが、先生から言わせるとそんなものはポートフォリオではないと。ポートフォリオでは自分のPersonalityを伝えなければならなかったのです。そこからは技術的なことだけではく、自分を知りそれを表現することに多くの時間を割きました。

自分って結局どんな人間なんだっけ?という問いに答えるには、誰もが当然の様に激しく個性を主張し合うニューヨークという環境は最適だったかもしれません。先生も、あなたは何故そう思うの?と、内面を掘り下げる作業をリードしてくれました。自分のバックグラウンドや強みが掴めてからは、一気にブレイクスルーできたと思います。

 

·   P.I.ART CENTERでは、実際にどのような事が役に立ちましたか?

全部です(笑) 役立たなかったことがない。

ぼくはもともと日本の美大予備校でポートフォリオを作っていたのですが、そこでは納得のいくような授業を受けられなかったというのが正直な感想でして。そこから藁をもつかむような思いでP.I.に来ました。結論から言うと、本当に来てよかった。日本だとアートは教えることができても、受験のツボをおさえてポートフォリオ製作をちゃんと教えられる人はほとんどいません。

作品をつくるのとポートフォリオをつくるのって、別物なんです。いくら単体の作品が良くても、ポートフォリオの構成が良くないとそれが伝わらず、結果的に大学には受からない。だからアートだけ教わっても不十分なんです。

P.I.では、アートもポートフォリオのつくり方も、どちらも学べます。

大学で実際に受験生のポートフォリオをジャッジしていた先生がたくさんいますし、日本人スタッフの方も常に親身に相談に乗ってくれます。

ジャッジする側の生々しい視点を知れるというのはとても心強いですよ。

また、P.I.で開催されるポートフォリオDayで、カルアーツ(Cal Arts)、アートセンター(Art Center)など志望する大学からポートフォリオのフィードバックが受けられたのも、非常に参考になりました。

 

·   P.I. ART CENTERに通っている間の生活の流れはどのような感じでしたか?またその間、不安や不満などはありましたか?

TOEFLは既にクリアしていたし、4ヶ月しかなかったので、アートだけに集中すると最初から決めていました。

午前中は課題、午後は授業、夜はまた課題。授業がない日は、午前中に外部のライフドローイングセッションに参加、午後は外でスケッチをしたり、友だちと美術館に足を運んだり。観光や息抜きは一切せず、アートに関係のある事しかしなかったです。どこかへ出掛けるにしても、スケッチをするのが目的でした(笑) スケッチが半分息抜きみたいな感じだったかもしれないですね。

12月はポートフォリオ作成のピークで、夜10時に寝て夜中2時に起きて作業をするというスタイルで乗り切りました。

最初は不安なことだらけでしたが、友だちができたり、交通事情や家の周辺環境の情報等が把握できてからはとても楽しかったです。特にメジャーが違う友だちの存在は大きく、お互い面白いと思うものが異なるので、一緒に勉強することでアートの見聞がかなり広がりました。

不便はあっても不満は一切なかったです。ただ、1週間$12だけの食費で4ヶ月生活するのは、なかなかシャープな食生活でした(笑)

 

·   英語はどのようにして勉強しましたか?

 お金をかけるのが嫌だったので、日本で独学でTOEFLをクリアしました。

最初はひたすら英単語を覚えてから、その後問題演習を行いました。テキストは片っ端から音読。リスニング問題のスクリプトも音読。

InterPalsというグローバルチャットサイトでアメリカ人の友達を作り、毎週Skypeで話してスピーキングの練習もしました。

海外に行けば勝手に英語が話せるようになるというのは幻想です。ツールや成功事例はいくらでもあるので、日本に居ながらでも十分英語学習はできると思います。

ポートフォリオのために作品をつくりながら英語を勉強するのはなかなかしんどいと思うので、海外美大に少しでも興味がある人は、今日この瞬間から英語だけは始めることをおすすめします!

 

·   これから留学を志す人へのアドバイスなどはありますか

海外美大留学ってブラックボックスですよね。分からない事があまりに多すぎる。その気持ち、本当によく分かります。

・そもそも海外美大留学の全体像がよくわからない

・日本で海外美大留学対策をしてくれる予備校が少ない。もちろん留学経験のある先生はもっと少ない

・ポートフォリオの内容で合否を判断されるが、その判断基準を知っている人はもっともっと少ない

・だから何をどう頑張れば良いのかさっぱり分からない

・しかも出願にはTOEFLという鬼畜試験で高得点が必要(英語のハードルその1)

・エッセイも必要(英語のハードルその2)

・推薦文も必要(誰か書いて)

作品作りだけでも大変なのに、情報不足や英語という敵が隊列を成して容赦なく襲ってきます。ぼくも最初は本当に八方塞がりでした。でもたぶん大丈夫。アートスキルゼロのただのサラリーマンだったぼくだって合格できたんですから。

留学に対する不安があるなら、一旦それを全て紙に書き出してみると良いと思います。それから、その不安ひとつひとつに対して、どうやったら不安じゃなくなるのかを考える。一人で悩むだけでなく、留学経験のある人や P.I.のアドバイザー(中沢さん)にガンガン質問をしてください。とにかくアクションを起こす事が大切!

そんな事言われても怖い...というアナタ。

失敗するのが怖いですか?それとも、あの時留学しておけばよかったと後悔するのが怖いですか?

 

·   また、将来の目標や夢など教えてください!

将来は3Dアニメーション映画を作りたいです!もうこれは P.I. に来る前からブレない。

でもニューヨークでアート留学をした事で少し考え方が変わり、今は個のアーティストとしても活動していきたいと思っています。それも、ただ作品をつくるだけでなく、アーティストとして社会に根を張るような事をしたいです。究極的にはアートで社会問題を解決するような取組ができれば最高ですが、ぼくみたいにサラリーマン出身のアーティストを集めてニューヨークで個展をするという野望もあります(笑) 

やりたい事だらけですが、まずは4年間、カルアーツでみっちり頑張ります。

それでは、良いアートライフを!