SHOKOさん
2016年度
New York School of Interior Design
INTERIOR DESIGN科 大学院入学
「今の世の中、どこへ行ったって安全な道なんてないんだよ。だったら今、自分の行きたいところへ行って、自分のしたいことをしたほうがいい。腹をくくってね。」
あれは2014年の2月4日。その日付けた日記にはThe memorial day in my lifeと題してある。以前ホストファミリーとして受け入れたアメリカ人と、そのプログラムの担当者と5年ぶりの再会を祝した晩だった。東大を中退し、映画監督になるためにアメリカに飛び立ったという担当者の彼は、私に言った。
当時私は大学4年生になる前の春休みで、学期開けから1年間の休学を控えていた。インテリアデザイン学校に留学する予定で、一応受験にも合格していた。インテリアデザインを学ぶことは本望だったが、休学自体は就職活動が有利に働く為の打算的計画だった。かといって、将来インテリアデザインを職にすると決めているわけでもなく、すべては中途半端に、周りの風潮に流されていた時だった。そんな私を見抜いたのか、彼は最後に「腹をくくってね。」と付け足したのかもしれない。そしてその一言は、見事に私の心に突き刺さった。
「今したいこと(インテリアデザインを学ぶこと)に腹をくくろう。」そう決意した私は、休学を取り止め、大学を卒業してから学資がもらえる学校に通いなおすことにした。それからは、お金のこと、ビザの申請、学校のリサーチ、年齢やキャリアについて、恋人や家族などたくさんのことが私の意志を振るいにかけてきた。一つ一つを乗り越えるごとに、不思議と覚悟も強まった。たくさんの学校の中で、プログラム内容・学習環境・学習期間・経済面を基準に、条件を満たした大学が一つだけあった。その学校のプログラムだけを目指して、私は受験準備の為にニューヨークに飛び立った。ところが、P.I. Art Centerに通い始めて一番初めに知ったのは、わたしが行きたかった学科が今年度からなくなっていたことだった。大学側がWEBサイト等、情報を更新していなかった。出発前に見送ってくれた人たち顔を浮かべると、そう簡単に帰るわけにもいかない。途方にくれた私に、P.I.のスタッフが他の進路を勧めてくれた。大学院も視野にいれられることがわかり、その日から、英語やポートフォリオの作成に励んだ。英語の学習とポートフォリオの作成の同時進行は大変ではあったが、先生やP.I.スタッフのサポートのおかげで進むことができた。そして誰よりも同じ志を持った仲間たちは、とても心強い存在だった。またデザインやアートの勉強をしたことがない私にとって、デザイン、美術学校に通ったことがある学生との交流はとても勉強になった。こうして、たくさんの幸運と、出会いと、激励のおかげで志願していた大学院が決まった。アメリカンドリームをうたうニューヨークでは、ここにいる限り勝手に夢が叶うと思っていた。しかし他人を圧倒できるほど美しい景色の内側には、たくさんの葛藤と努力と溢れんばかりのエネルギーが詰まっている。
“Where there is a will, there is a way”. ( 強い意志があれば、必ず道がある。) これからも、自分の目標に向かって真っ直ぐに突き進みたい。